2009.11.13 日本地震工学会大会
ダッシュボード上に携帯電話を置くだけで路面段差を観測する簡易調査方法
地震などの広域災害時に被災地周辺の交通状況を迅速に把握,共有することで復旧復興活動を支援する新たな社会システムを提案,研究している. 平成16年新潟県中越沖地震においては,デジタル万歩計を乗用車に取り付け走行することで,道路にできた亀裂や段差を簡易に観測する方法を試み,その結果を2007年日本地震工学会大会で報告した.従来の目視による確認や,機械式接触型や光学式非接触型などのプロフィルメータを使用した路面の寸法形状測定では人手や手間,高額な装置が必要であった.これに対し100円ショップで購入したデジタル万歩計を改造して信号を取り出し,秋葉原で購入した名刺サイズのワンボードマイコンに取り付け段差を記録した.さらにハンディGPSで記録した位置情報を加え,エクセルのグラフ機能により地図上にプロットした.この非常に安価な方法でも地震被害の分布を示すことができた.しかし万歩計の改造やマイコンのプログラミングには専門知識が必要であり,誰もが容易にできる方法ではなかった.これを改善すべく自動車のダッシュボード上に携帯電話を置いて走行するだけで段差の観測が可能な簡易調査方法を開発した.本稿ではその結果について述べる.